雪平鍋を揚げ物に使用する場合、いくつかの点に注意が必要です。
アルミ製の雪平鍋は、温度変動が大きい、取手が木製であることが多い、片手鍋であるといった特徴があり、理論的には揚げ物には不向きとされています。
そのため、雪平鍋を揚げ物用として使用する際には、これらのデメリットを受け入れる必要があります。
雪平鍋で油の温度が安定しづらい理由は?
アルミ製の鍋は、油の温度が安定しにくい特徴があります。
美味しい揚げ物を作るためには、「油の温度を安定させること」が重要です。
食材を加える度に温度が下がると、揚げ物が油っぽくなる恐れがあります。
そのため、特に家庭で少量の油を使用する揚げ物には、重い鍋が推奨されています。これは、重い鍋ほど熱容量が大きいからです。
熱容量は「比熱×密度」で求められます。
アルミニウムは密度が低い素材であるため、食材を加えた時の温度変化(油の温度低下)が大きくなります。
そのため、アルミ製の鍋でおいしい揚げ物を作るためには、「油の量を増やして温度低下を最小限に抑える」ことがポイントとなります。
少ない油で揚げ物をするために雪平鍋を選んでいる場合には、それは矛盾しています。
食材が鍋底にくっつきやすい理由は?
アルミ製の鍋で揚げ物をすると、食材が鍋底に張り付くことがあります。
少量の油で雪平鍋を使って揚げ物をすると、高確率で食材がくっつくことがあります。
これは、食材がアルミニウムの熱を奪うためであり、表面が焼き固まる前にアルミニウムの表面と食材のタンパク質が結合してしまうためです。
熱容量が小さいため、熱伝導率の良さが問題となることがあります。
熱伝導率の高さは、揚げ物鍋としてのメリットとなります。
熱伝導率に優れた素材の鍋を使用すると、油が均等に温まりやすくなり、仕上がりが良くなります。
そのため、天ぷら店などでは銅製の鍋が好まれていますが、アルミニウムは熱容量が小さいため、銅鍋のようにはなりません。
揚げ物時の雪平鍋使用における注意点
揚げ物を雪平鍋で行う場合、木製の取っ手が高温により損傷するリスクがあります。
木製取っ手は熱伝導率が低く通常は熱が伝わりにくいですが、高温の環境下で長時間使用すると、取っ手の低温炭化が進行し、次第に劣化していきます。
揚げ物には通常160〜200℃の高温が使用され、これが木材の徐々に炭化を促す原因となります。
木材は400〜450℃で発火するものの、170℃の比較的低温でも長時間加熱されると炭化のリスクが生じます。
そのため、雪平鍋の木製取っ手は繰り返し使うことにより低温炭化が進み、最終的には損傷につながります。
適切な揚げ物用鍋の選び方
揚げ物には安全上の観点から両手鍋の使用が推奨されます。
高温の油を扱う際、両手鍋は片手鍋よりも安定しており、調理中の事故リスクを低減できます。
特に、木製の取っ手がある鍋は熱破損の可能性が高いため、雪平鍋の使用は避けるべきです。
揚げ物にはやはり、大きな熱容量を持ち、安定して調理できる厚手の鉄鍋や鋳物鍋がおすすめです。
雪平鍋での揚げ物のガイドライン
アルミ製の雪平鍋は揚げ物には向いていません。
アルミ鍋は温度変化に敏感であり、木製の取っ手を持つため、転倒事故や取っ手の低温炭化のリスクが高まります。
安全かつ効率的に揚げ物を行うためには、熱が均一に伝わる両手鍋を使用することが推奨されます。